5月27日、クミコの新たな表現の到達点とも言えるシャンソンアルバム『シャンソンティックな歌たちVol.2~時代を紡ぎ、物語を歌う』が発売となり、記念すべき発売日に新宿の老舗シャンソン喫茶「シャンパーニュ」にてリリースライブを行った。このライブハウスは今作の柱であり、シャンソンの名曲『再会』の日本語詞を綴った故・矢田部道一氏が創設した場所だ。
(撮影/中嶌英雄)

ニューアルバムは、前作以上に「歌が語る物語」にフォーカスした珠玉の一枚。伝説の歌姫・金子由香利への深い畏敬の念をベースに、角川映画の金字塔「犬神家の一族」のテーマ曲『愛のバラード』からフォーク、歌謡曲まで、多彩なジャンルの名歌を収録。それらすべてを「クミコ」というフィルターに通すことで、一編の映画のような情景を想起させる濃密なシャンソンへと鮮やかに昇華させている。
さらにこの日、客席には特別な人物の姿があった。金子由香利を世に見出し、シャンソンブームを牽引したプロデューサー・残間里江子だ。金子由香利へのオマージュを込めたアルバムの発売日に、その伝説を共に作った残間氏が立ち会う。それは、クミコが継承してきたバトンの重みと、新たな時代の幕開けを象徴するような光景であった。
ライブ中盤に披露したのは、アルバムの核を成す『再会』と『愛のバラード』。矢田部氏の魂が宿るこの場所で唄われる『再会』は、偶然出会った元恋人たちの心の揺れを一語一句慈しむように紡ぎ出すクミコの真骨頂。幻想的でやるせない『愛のバラード』の情愛が空間を満たし、観客を物語の深淵へと引き込んでいく。
『再会』の歌唱後には、客席の残間里江子をステージに招き入れる一幕もあった。二人のトークの中で残間氏は、「クミコさんにはずっと『再会』を唄ってほしいとお伝えしていたので、それがかなって本当にうれしい」と感無量の面持ちで語り、会場は温かな拍手に包まれた。

また、中島みゆきのカバー『時は流れて』の歌唱も圧巻であった。もともと強い物語性を持つこの曲を、クミコはあえて劇的な抑揚をつけたシャンソンティックなアプローチで表現。過ぎ去った時間と人生の機微を浮き彫りにするその歌声は、まさにこのアルバムの真髄を象徴していた。
終盤では、平和への祈りを込めた『イムジン河』、泥臭くも崇高な生命力を爆発させた『ヨイトマケの唄』、そしてフィナーレでは圧倒的な愛の肯定を唄う『愛の讃歌』が響き渡り、新宿の夜は鳴り止まない拍手とともに幕を閉じた。

アルバムの発売を記念し、本日からクミコのオフィシャルYouTubeチャンネルにて『再会』と『愛のバラード』のミュージックビデオを同時公開。
10月30日には、東京・初台の東京オペラシティ コンサートホールでコンサートを開催する。
■『再会』
■『愛のバラード』
■アルバム『シャンソンティックな歌たち Vol.2~時代を紡ぎ、物語を歌う~』
5月27日発売
日本コロムビア COCP-42696
¥3,500(税込み)
◇収録曲
1. 愛のバラード(新録)
(オリジナル:金子由香利)
作詞/山口洋子 作曲/大野雄二 編曲/大貫祐一郎
2. ピエロの真珠(新録)
作詞・作曲/敏とし 補作詞/市川武 編曲/大貫祐一郎
3. 時は流れて(新録)
(オリジナル:中島みゆき)
作詞・作曲/中島みゆき 編曲/大貫祐一郎
4. イムジン河(新録)
(オリジナル:ザ・フォーク・クルセダーズ)
作詞/朴世永 作曲/高宗漢 日本語作詞/松山猛
日本語詞協力/きたやまおさむ 編曲/加藤和彦、大貫祐一郎
5. 再会(新録)
(オリジナル:ニコレッタ)
作詞/Emil Dimitorov 日本語訳詞/矢田部道一 作曲/Patricia Carli 編曲/大貫祐一郎
6. 愛の追憶(新録)
(オリジナル:ダリダ)作詞/Michele Michaele 日本語訳詞/岩谷時子
作曲/Lana & Paul Sebastian 編曲/大貫祐一郎
7. 幽霊(新録)
(オリジナル:シャルル・トレネ)
作詞・作曲/Charles Trenet 日本語詞/高野圭吾 編曲/大貫祐一郎
8. 愛の讃歌(2024年録音)
(オリジナル:エディット・ピアフ)
9. Woman ~Wの悲劇より~(2025年録音)
(オリジナル:薬師丸ひろ子)
10. ヨイトマケの唄(2023年録音)
(オリジナル:美輪明宏)
11.~17. 1.~7. Instrumental
■コンサート情報
9月5日(土)宮城・仙台 誰も知らない劇場
10月1日(木)愛知・名古屋 Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
10月8日(木)北海道・札幌コンサートホールKitara 小ホール
10月10日(土)兵庫・神戸朝日ホール
10月30日(金)東京・東京オペラシティ コンサートホール
※東京公演ゲスト:ベイビー・ブー 詳細はこちら