市川由紀乃/復帰コンサート大成功、命の恩人・由紀さおり登場のサプライズも

市川由紀乃が5月19日、ソロコンサート「ただいま ! 」を埼玉・サンシティ越谷市民ホール大ホールで開催した。卵巣がんの治療のため2024年6月7日に休業を発表した市川にとって、ソロコンサートは同年5月27日以来、357日ぶり。テレビの歌番組などでは活動を再開しているが、この日を待ちわびた約1600人のファンで会場は満員となった。

コンサートタイトル「ただいま ! 」と1文字ずつスクリーンに映し出され、ファンが固唾(かたず)を飲んで見守る中、オープニング曲の前奏が始まると、スクリーンにはベッドに横たわる入院中の映像が。その映像に合わせるように市川の歌声で『終わりなき旅』(美空ひばり)が響いた。2番で純白の振り袖を着た市川が舞台中央のセリから登場すると、大きな拍手が巻き起こった。

この歌は体調が悪化していた美空ひばりさんが1988年4月11日、復活コンサート「不死鳥 in TOKYO DOME」を行った時のオープニング曲。ひばりさん同様、オープニングから感謝と決意があふれ出る熱唱だった。

「ひばりさんのこの歌を唄わせていただくことは恐れ多いですが、今の自分が経験できたさまざまな感情を込めて唄わさせていただきました」

万雷の拍手に手を振った市川は、「コンサートタイトル、言わせていただきたいと思います。みなさん、“ただいま ! ”」。会場から「おかえり ! 」の声が飛び交った。

コンサート中盤には、親しくしてもらっている大先輩歌手・由紀さおりさんがサプライズでステージに登場。由紀に体調の相談をしたところ検査を強く勧められた、市川にとってはいわば命の恩人。花束を持って登場した由紀は「おせっかいなおばちゃんと思ったんですけど、ここしかないというタイミングで、彼女が抱えているものが分かって良かった。きっかけを作ったけど、彼女の強さ、唄いたいという気持ちの結果です」と話した。

市川は手で顔を覆って「これからも(由紀に)たくさんのことを学ばせていただいて、いい歌を届けられるように頑張ります」と涙声で話した。そして、由紀に駆け寄って、抱きついて感謝した。

ステージは、由紀が言った「唄いたい」という市川のパワーが全開で、『海峡出船』など恩師の作曲家・市川昭介氏の作品や、『舟唄』(八代亜紀)など昭和歌謡を披露するコーナーと多彩。そして『飢餓海峡』(石川さゆり)など名曲を芝居仕立てでつづる短編歌物語「愛に飢えた女たち」では、心を揺さぶる歌唱と名演で観客を魅了した。

エンディングは新曲『朧(おぼろ)』(作詞・松井五郎、作曲・幸耕平、編曲・佐藤和豊)。〝朧〟とはぼんやりとかすんでいる様。たとえ先の見えない世でも、愛を信じて生きる情念の女を唄い上げた。

約1年ぶりのソロコンサートで当初、体力が心配されたが、17曲を見事に唄い上げた。万雷の拍手と由紀乃コールが止まない中、会場の隅々に深く頭を下げた。言い尽くせない感謝の思いが、観客すべての心に伝わった。


■市川由紀乃コメント

「“ただいま”“おかえり”の言葉の温かさ、大切さを感じる人生を歩ませてもらえるようになりました。みなさんの支えで、励ましのおかげで、元気に帰って来ることができました。みなさんにいっぱい泣いてもらったので、これからはいっぱい笑顔になってもらいますよ!」

【市川由紀乃コンサート ただいま!】
・5月19日(月) サンシティ越谷市民ホール(埼玉県越谷市) 
・5月28(水)、29(木) 大阪新歌舞伎座(大阪市)  
・6月20(金) 日本特殊陶業市民会館フォレストホール(名古屋市)

■闘病の経緯

昨年6月初旬、卵巣に腫瘍が見つかり、医師からすぐに手術と言われた。状況によっては卵巣だけでなく、隣接する子宮など女性の臓器を摘出すると告げられた。ショックだったが「絶対に乗り越える」と誓ったという。6時間に及ぶ手術。その後は5カ月に及ぶ抗がん剤治療が続いた。副作用で髪が抜けるのを見たくなくて、大切な髪をベリーショートにした。「喜怒哀楽の喜びと楽しみが抜けた期間がありました。でも、今の自分はこうなんだ、と受け入れなければ」と強く思った。

現在も2ヶ月に1度、通院し検査を受け、「誰かのために役に立つ人間になりたい。病気と闘っている方、ご家族、友人の背中を押してあげる活動をしたい」と、会場には本人だけでなくがんの影響を受ける家族・友人・すべての人が交流し、サポートを受けられる認定NPO法人「マギーズ東京」(東京・豊洲)の募金箱が置かれた。市川にとって初の試みで、今後コンサート会場に置かれる予定。

■新曲『朧』

5月20日に、カップリングを替えた「豪華盤」と「通常盤」の2タイプを発売。
『朧』ミュージック・ビデオにも注目が集まっている。

当初、復帰作はバラードなど静かな曲が考えられたが、市川自ら「力強さを感じる新曲にしてほしい」と願い、「病気で未来が朧になることもありましたが、私は攻めたいんです。強い気持ちを歌にしてほしかった」と話した。

【商品情報】

作詞/松井五郎 作曲/幸 耕平 編曲/佐藤和豊
5月20日発売
【豪華盤】
C/W『オリガミ』
作詞/松井五郎 作曲/幸 耕平 編曲/佐藤和豊
※DVD=『朧』MV、メイキング映像
特製スリーブケース仕様(初回製造分のみ)
2形態連動応募抽選【A券】を封入(初回製造分のみ)
12Pフォトブックレット


【通常盤】
C/W『夕化粧』
作詞/松井五郎 作曲/幸 耕平 編曲/佐藤和豊

2形態連動応募抽選【B券】を封入(初回製造分のみ)


■プロフィール
市川由紀乃(いちかわゆきの)
本名/松村真利
出身地/埼玉県さいたま市出身
身長/170.5㎝

1976年1月8日生まれ。埼玉県さいたま市出身。
16歳の時に新聞社主催のカラオケ大会で優勝し、スカウトされる。作曲家故市川昭介氏の門下生。
1993年、『おんなの祭り』でデビュー。2002年4月から活動休止。2006年10月、5年ぶりの新曲『海峡出船』を発売。
2013年発売『風の海峡』以降、2021年『秘桜』まで、11作連続でオリコン演歌・歌謡曲ランキング 1 位を獲得。
2016年、第49回日本作詩大賞優秀作品賞、第49 回日本有線大賞有線大衆賞を受賞。年末には念願であった、第67回NHK紅白歌合戦に初出場、翌2017年、第68回NHK紅白歌合戦と2年連続で出場を果たした。
2018年、『雨に濡れて二人』市川由紀乃&横山剣(クレイジーケンバンド)で、第60回日本レコード大賞企画賞、2019年、第61回日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞。2020年には『なごり歌』が第 53 回日本作詩大賞にて大賞を受賞。2023年、『花わずらい』で第65回日本レコード大賞優作品賞を受賞。


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※この日の模様は歌の手帖8月号(6/20発売)に記事掲載予定

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