60年近くに亘り日本の歌謡界に作品を提供してきた作詞家・もず唱平。88歳の誕生日となる8月8日、大阪・心斎橋「スペース14」にて「88years Festival~もず唱平自選集作品発表記念公演」を開催し、250席満員となった。
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▲写真左より司会・小池可奈、レイジュ、成世昌平、川中美幸、鳥羽一郎、中村美律子、朝花美穂
幕開けを飾ったのは、最近楽曲を提供された中で一番若い歌手の一人、朝花美穂。封建時代に貧しさの中で身を売るしかなかった女郎をテーマにした『しゃくなげ峠』と『銀のかんざし』を披露。司会の小池可奈に「詞の意味は全部理解できましたか?」と問われ、「もず先生に丁寧に教えていただき、理解できました。今日は先生にいただいた銀のかんざしをしてきました」と披露する一幕も。

▲朝花美穂
レイジュは台湾の先住民タイヤル族の出身で、もずが彼女の生まれ故郷・宜蘭県を訪れた際に購入し贈った民族衣裳を着て登場。浪花女を主人公にした『サイナラあんた』を唄い祝福。

▲レイジュ
成世昌平は小池と、もずのよき理解者だった作曲家・船村徹(2017年、84歳で逝去)とのエピソードを披露。2人の作品『みかえり富士』はブラジル移民に夢をはせて海を渡った人々の物語、と説明。また幼くして故郷を離れて奉公に出された恵まれぬ少女達を歌った『杏』を東海林太郎ばりに背筋を伸ばした姿勢で、ギター池田定男、ピアノ山下憲治の生演奏で熱唱した。

▲成世昌平
中村美律子は、もずの楽曲ながら「レコーディングの時以来、ほとんど唄ったことがない」という『酔っぱらって子守唄』と『親不孝伝』を「今日唄わせていただくので、かなり練習しました。20年ぶりです」と話し、小池が「母性の回復や虐げられた者の歌ですね」と説明。3曲目には『虫けらの唄』といずれも地味な楽曲ながら、独特の巻き舌の〝美律子節〟で客席を魅了。

▲中村美律子
船村の愛弟子・鳥羽一郎は、内弟子時代に目撃したもずと船村の飲みっぷり、遊びっぷりを明かすと場内は大爆笑。漁師歌で定評のある鳥羽に提供した『泉州春木港』を披露後、罪を犯して服役し社会復帰を目指す人々を主人公にした『一厘のブルース』歌唱前に、鳥羽が客席にいた大阪のお好み焼き「千房」中井政嗣会長とお笑いタレントで文化功労者の西川きよしを舞台に呼び上げ。前科前歴者の社会復帰の難しさと支援の大切さを語ってもらう一幕も。
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▲左より中井政嗣会長、鳥羽一郎、西川きよし

▲鳥羽一郎
トリに登場したのは、もずがスカウトした門下生・川中美幸。14歳で指導を受け始めてプロに転じ、一緒に残留孤児の足跡を訪ねて訪中。その思い出を語る川中の目には涙も。関連した『櫻』を唄い、続いてもずと川中の愛した大阪の情景をバックに歌った『あんたの春』。

▲川中美幸
締めには、もずが八代亜紀に提供した『立ち吞み小春』を選択。ここで作曲したシンガーソング・ライター円広志が登場。今回の自選集を担当した徳間ジャパンの坊井江里奈ディレクターが「服(まつろ)わぬ、とは長いものに巻かれず権力に組みしない、という意味。もず先生は弱者を思いやるだけでなく、その中に入って同じ目線で理不尽な社会の仕組みを冷徹に見ておられる」と製作意図を説明。

▲左より小池可奈、坊井江里奈ディレクター、円広志、川中美幸
最後に石川さゆりがサプライズ登場。「もず先生が断筆宣言される直前に『棉の花』をいただきました。そんなことおっしゃらず、ぜひ次の曲の打ち合わせをさせてください」と活動継続にエールを贈った。

▲石川さゆり
終演後、もずは阪神タイガースの背番号88のユニホーム姿で観客を見送り。報道陣の質問に対し「今日はあくまで楽曲と歌い手が主役。良き先輩や周囲の人々のおかげでここまでやってこられた。今日は歌い手の皆さんが頑張ってくれ、よいステージにしてくれました」と話し、笑顔で会場を後にした。

■服(まつろわ)ぬ種族の作詞家 もず唱平自選集

8月5日発売
徳間ジャパン TKCA-75350
¥3,300(税込み)
◇収録曲
※( )内はオリジナル歌手
杏(成世昌平)
鯨の浜唄(浅田あつこ)
一厘のブルース(鳥羽一郎)
鬼さんこちら(MAYUMI)
親不孝伝(中村美律子)
君に涙のある訳は (円広志)
銀のかんざし(朝花美穂)
ゴジラのお嫁さん(子門真人)
櫻 中国・東北地方の養父母に捧げる (川中美幸)
サイナラあんた(レイジュ)
しゃくなげ峠(朝花美穂)
立ち呑み『小春』(八代亜紀)
だんじり囃子(五木ひろし)
人生(長保有紀)
みかえり富士(成世昌平)
夕陽の海(船村徹)
棉の花 (石川さゆり)
徳間ジャパン公式サイト