ストリングスの魔術師、編曲家・若草恵先生

昨日、東京にも雪が降りましたけど、

♪こなぁ~ゆき~、ではなく、

♪ぼたぁ~ゆきぃ~、で

積もりませんでしたね。

雪が降ると、2月だろうが関係なく、

山下達郎さんの『クリスマスイブ』

を口ずさんでしまう世代です(笑)。

さて、歌の手帖3月号の

巻末楽譜は

ストリングスの魔術師でもある、

編曲家・若草恵氏のヒット曲特集です。

CD4枚組の

『若草恵 サウンドマジック~編曲美学~』

(UPCY-7754/7)。

若草氏が編曲を手掛けた作品から、

氏の選んだ72曲が、

レーベルの枠を超えて収録。

3月号の巻末楽譜特集で

楽譜を掲載した

『かもめはかもめ』研ナオコ

『ラブ・イズ・オーヴァー』欧陽菲菲

『愛燦燦』美空ひばり

『追憶』五木ひろし

『すずめの涙』桂銀淑

『難破船』中森明菜

『夜桜お七』坂本冬美

の音も収録されています。

僕が若草恵先生の名前を知ったのは、

中学時代に

近田春夫さんの

初ソロアルバム『天然の美』

を買った時です。

近田さんは元々、ロックバンドを

やられていた方なんですよね。

『天然の美』近田春夫(1979年)

当時、近田春夫さんは

オールナイトニッポンを担当していました。

近田さんのオールナイトニッポンって、

2時間すべて新譜(演歌からポップスまで)を

はじめとした曲をかけながら、

その歌についての感想(批評)を

曲を流しながら語るという

斬新なもので、

その批評が

深夜放送ならではの辛口で

面白かったんです。

その番組で

このアルバムに収録されている

『エレクトリック・ラブ・ストーリー』

という曲をよく流していました。

この歌は

『ライディーン』や『テクノポリス』で

当時飛ぶ鳥も落とす勢いだった

あのYMO(イエローマジックオーケストラ)が

プロデュース・編曲を務めていて、

その歌が好きだったこともあり、

このアルバムを買いました。

アルバムにはA面(レコード時代です)

の1曲目にYMOプロデュースの

『エレクトリック・ラブ・ストーリー』

が収録されているんですが、

なんとB面の1曲目にも同じ

『エレクトリック・ラブ・ストーリー』

が収録されているんです。

しかしB面の方は

若草恵先生のアレンジです。

同じ曲で、アレンジの異なる2曲を

A面とB面の頭に収録しているんですね。

YMOアレンジの方は

いかにも当時のシンセサウンドの、

いわゆるテクノサウンド。

今聴くとチープな音なんですけど、

それが当時から良かったんです。

若草先生のアレンジは、

豪華なオーケストレーションの

きめ細かい編曲の歌謡曲アレンジ。

近田春夫さんも

若草先生の書いた

アレンジ譜の細やかさを見て、

「やっぱり本職は違うなぁ」と

驚いたそうです。

同じ曲なのに、

アレンジによって

歌が全然違うものになる、

というのを

このアルバムで知りました。

で、初めてこの時

若草先生の名前を知り、

この編曲の方、凄い人だなぁ、

と思ったんですよね。

ちなみに、

このアルバムには

若かりし頃の杉本真人先生も

『哀愁専科』という作品を提供しています。

このアルバムのブックレットに

若草先生と杉本先生の

写真が掲載されているんですけど、

2人とも長髪とアフロ(時代!)で、

すごく若いんですよね。

他にも筒美京平先生や

宇崎竜童さんなど

豪華なメンバーが顔を揃えている

隠れた名盤なんですよ。

村田

歌の手帖 2022年3月号 | 歌の手帖,2022 | 歌の手帖社 utate online

【公式SNSを見る】
error: コンテンツは保護されています