偉大なる母の皆さまに捧ぐ

歌の手帖6月号の

巻末楽譜特集は

「母の歌♡セレクション」

です。

有名な母もの作品の楽譜を

全9曲掲載。

今回、

この巻末楽譜特集の

歌詞を打っている時、

それぞれの歌が

胸にジーンときて、

涙がでそうになりました…。

僕も年をとったんだなぁ、と。

例えば

『ヨイトマケの唄』(美輪明宏)。

実はこの歌を

最初に聴いたのは

山内惠介くんのライブでした。

もう10年以上前になるのかな。

お恥ずかしいことに、

その時は

全然知らない歌だったんですけど、

山内くんの熱唱もあって、

すごく感動したのを覚えています。

この歌、美輪明宏さんの

小学校時代の友達と

お母さまのことを

唄っているんです。

実話なんですね。

美輪さんの友達は

母子家庭で、

その母親は足が悪かったのに、

母1人で息子を育てるために、

工事現場で働いていたそうです。

いわゆる炭鉱労働者。

当時は女性が働く場所は

今より限られていたでしょうし、

息子さんを育てるためには

それしかなかったんでしょう。

でも、その友達は

母親が 炭鉱の工事現場で

働いていたことから、

周りの友達に

馬鹿にされて

いじめられていたらしいんです。

美輪さんの友達もきっと、

炭鉱労働者で、

泥にまみれて働く母親が

子供心に

恥ずかしくて

イヤだったんだと思います。

だけど歌詞の通り、

工事現場で

屈強な男の中にまぎれて、

1人、足の悪い母親が

息子(自分)のために、

必死に頑張って

働いている姿を見て、

その友達は

気持ちを改めたそうです。

母の仕事を恥ずかしいと思っていた

自分を恥じたんでしょうね。

そして本誌の解説で書きましたが、

その母親が子に言った言葉を

思い出し、

美輪さんはこの歌を書いたとか。

もうね、

何度聴いても、

『ヨイトマケの唄』は泣けます。

数年前に

氷川きよしくんも

コンサートでカバーしてくれましたが、

取材中でしたし、

その時も涙を堪えるのに必死でした。

自分も母子家庭なんで、

この歌の男の子の

気持ちになっちゃうんですよね。

また、

山口百恵さんの『秋桜(コスモス)』。

この歌がヒットした時は、

僕は中学生でしたけど、

若い時は

全然ピンとこなかったんです。

まぁ、

娘を嫁がせる母の気持ち、

というのは

もちろん

子供なりに分かりましたけど、

やはり、

子供なりにしか分かってなくて、

それが

どのくらいの重さなのかが

ピンとこなかったんです。

僕は男ですしね。

むしろ

暗くて、あまり好きじゃない歌だなぁ、

くらいに思ってました。

でも、大人になってから、

この歌が徐々に分かってきて、

特に自分に娘が出来てからは、

もうこの歌の深いところが

すごく響くんですよね。

特に、

母親が

アルバムを眺めながら、

同じ話しを、

小さな声で、

繰り返し

つぶやき続ける…

というところが、

すごく心に響きます。

自分の人生をかけて、

自分の時間を捧げて、

大切な娘を20年間以上、

母親は

必死に育ててきたんですもん。

その母親にとって、

娘は自分以上の存在。

そんな娘が

自分のもとから巣立っていく…。

その喜びの裏側にある、

深い穴のような淋しさ。

そりゃ、

同じ言葉を繰り返しますよ。

「ママ、ママ」と言って、

泣いて、笑って、

ずっとそばにいた頃の

小さな娘を思い出して、

何度も同じことを

つぶやいてしまいますよ。

そしてこの歌の娘は、

そんな母の気持ちを、

わかっているんですよね。

そして、

同じ女として、

すごくすごく尊敬し、

感謝しているんですよね。

母親って偉大です。

母親ってすごいです。

母親の子への愛は最強です。

今年は5月9日が母の日。

僕も母に感謝の気持ちを

贈りたいと思います。

ぜひ皆さまも

今月の巻末楽譜特集を

読んでいただき、

大切な母親に

感謝を届けてくださいね。

村田

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