2024年11月21日
坂井一郎さん、『おまえは泣くな』でインタビューに行った時、あなた話してくれたね。
お父様から教わったという、男の美学。
「男たるもの、売られたケンカは正々堂々、受けて立て。ただし、自分からは絶対売るな」
あのビデオの立ち回りシーン、カッコよかったなぁ。
凶器を手に襲いかかってきた刺客を、素手で叩きのめす芝居、本物の映画俳優みたいだった。
今あらためて、あなたのレパートリーを聴きなおすと、実に“正々堂々”演歌の本道を歩いていたのが、よく分かるね。
最後の『男の日記帳』も、アレンジは洒落てたけど、歌は本物の演歌だった。
中川英二郎さんのトロンボーン・ソロ最高だけど、やっぱりあなたの歌が主役だね。当たり前だけど。
うちの歌謡祭のゲストに出てくれた時は、打ち上げまで付き合ってくださったね。
上の連中が先生方の接待に追われてる間、ずっと僕の話し相手になってくれたっけね。
「自分からケンカは売るな」よく覚えとくよ。
さよなら坂井さん。
(高村)
歌の手帖 2020年1月号 | 歌の手帖,2020 | 歌の手帖社 utate online