小誌「月刊 歌の手帖」、2020年1月号では譜面特集「巻末」にて初めて純烈作品集を掲載。
日本クラウンさんはじめ関係各位、皆様のお力添え改めてお礼申し上げます。
バックナンバー既掲載曲のほかに新規採譜・作成楽譜が6曲。先日業者から浄書データが上がってきたので早速、音源を聴きながらチェックいたしました。
音楽面から語られる機会はまだ少ないグループです。時代に選ばれるスターとはそういうものなのでしょう、ビートルズだって日本に情報が入ってきた当初は、話題の中心は長髪とか、熱狂する女の子たちとか、そんなんばかりだったって云うじゃないですか。
で純烈の曲はどうなのかと言いますと、『しのび哀』がいいですねぇ。大変官能的です。男の私がそう感じるくらいだから、女性ファンにはたまらんでしょう。メジャーセブンス・コードの響きが実に印象的です。歌詞でいうと前半の「ホンキで~」の所ですね。
なぜこのメロディーにこのAM7(Aメジャー・セブンス)の和声がつくと、つまりこの伴奏にこのボーカルが乗ると、これほどまでに官能的に聴こえるのでしょうね。ボーカリストの資質だ、アレンジのせいだと色々考えられるんですが、私としちゃあ純烈のイメージを、メジャー・セブンスの特色を上手く使って表現したんだと思いますが。
メジャーセブンスコードってのはその名のとおり、基本の3声和音の上に、ルートの音から長七度、メジャー音階第7声を加えた4声のコードのことです。主和音/トニック・コードとして、つまりハ長調/CメジャーのキーでCメジャーセブンスを鳴らすと普通にお洒落で洗練された響きに聴こえるますが、マイナー・キーの和声進行のなかで、経過和声いわゆるサブ・ドミナント・コードとして使われると一転、人間的な感情の湿度を含んだような、切なく物狂おしい響きになるもんです。『しのび哀』はキーがCシャープ・マイナーなので前述の箇所で使われているコードはAメジャー・セブンスというコードですね。
ではなぜCシャープ・マイナーのキーに於いてAメジャー・セブンスのコードが鳴ると官能的に聴こえるのかと申しますと、そこは音楽だから理屈じゃないってことになるんですが、無理やりこじつけますと、下記のようにAM7それ自体はメジャー・コードなのに、主和音C♯m7の音を全部包括しているから。
内部にマイナーをかかえたメジャー・コードの響きが、人の心がもっている明暗や陰影を象徴しているから…なんていう理屈はどうでしょうね。「官能のメジャー・セブンス」、純烈のキャッチフレーズにいかがでしょう。
(高村)
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