初めて知った!

 高校生のころ、テレビで西部劇映画を観て不思議に思ったことがありました。ガンマン役のヘンリー・フォンダがハイヒールのブーツを履いているのです。

 踵の高い靴というのはお洒落のためにあるもので、開拓時代の西部では、ファッションなどに気を使う余裕はなかったんじゃないかな…と思ったわけです。これはとんだ認識不足だったと、最近初めて知りました。

 カウボーイ・ブーツのハイヒールというのは、乗馬のさいに使う鐙(あぶみ)から足が抜けやすくするためのものだったのです。画のようにヒールが高くなっていれば鐙の途中で引っかかりますから、抜くのも簡単です。なまじステップにピッタリ合う靴だとすぐには脱げないわけです。

 なんで抜けやすくするかと言えば、落馬した時の安全性のため。落馬して足が鐙に引っかかったままだと、馬から逆さ吊りになった状態で地面に頭から落ちることになります。それだけでも危険ですが、この状態だと馬に頭や上半身を踏まれます。馬の体重は半トン近くあったりしますから、踏まれたら即死です。

 似た話でパンタロンというのも現代のファッションだと思っていましたが、実は元は水兵さんの服で、やはり脱ぎやすさのためのデザインだそうです。船が沈没する時、服を脱いだ方が助かりやすいので、靴を履いたままでもサッと脱げる、裾のひろがったズボンが考案されたんですって。

 北島御大、鳥羽一郎さん、三山ひろし君…カウボーイ(ウエスタン)のイメージが隠し味としてアレンジに生かされた演歌や昭和歌謡は実はたくさんあります。『酔待ち酒場』(三山君)のリズムなんかそうですね。

 最近はあまり流行らない西部劇ですが、クリント・イーストウッドやジュリアーノ・ジェンマの映画がお好きな方、天草二郎さんの『天草情歌』(日本クラウンCRCN-8140)なんかはハイロンサムな感じで、テンガロンやブーツ姿で唄うと似合うかもしれません。

 冒頭に書いたヘンリー・フォンダの映画とは、セルジョ・レオーネ監督の『ウエスタン』。最高のお気に入りですが、ビデオやDVDは持っていません。老後の楽しみにとっておこうかな、と思っとります。

(高村)

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