2024年11月26日
大手引っ越し屋さん「☓ート引っ越しセンター」さんのテレビ・コマーシャルの歌が気になって眠れません。起用タレントさんは次の朝ドラの人らしいですね。
元のメロディーは譜例①ですね。これが最初のバージョンでした。これにまずキャップをかぶった「ヒップホップ・バージョン」が加わり、さらに革ジャン姿で港アケミばりにシャウトする「ロック・バージョン」も放送されました。いずれも同じ曲で、それぞれ「風」のアレンジに変えているものでした。
そして最近、“満を持して”、振袖姿も初々しい「演歌バージョン」が登場しました。やはり同じメロディーで演歌「風」にアレンジされているのですが、それが譜例②なんですね(キーは違いますよ。たしかEマイナーだったかな)。
もとのメロディーで、メジャーの時のキーをそのまま平行調マイナーに変えているので、これだとあまりにクールというかコンテンポラリーと言うか…そんな印象です。
どうせなら、音階もコード進行も、同主調マイナーに変えて…なんて書くといかにも音楽学校の先生みたいでイヤらしいですが、つまり譜例③みたくすれば演歌っぽく聴こえるかな、と。
更に後半だけ譜例④みたいに「ヨナ抜きマイナー」音階にすれば、これはもう間違いなくエンカします。
今どき、テレビの仕事をなさるようなアレンジャーさんが、こんなことをご存じないはずはないので、多分「原曲のメロディーとキーを極力変えないで」とかいうような、クライアントさんからの注文があったのでしょうね。
(高村)
歌の手帖 2017年12月号 | 歌の手帖,2017 | 歌の手帖社 utate online