笠置シヅ子さんで知ってほしいこと

歌の手帖12月号の

巻末楽譜特集は、

10月からスタートして、

今話題を呼んでいる

NHKの連続テレビ小説「ブギウギ」

のモデルにもなっている歌手、

笠置シヅ子さんの世界です。

笠置シヅ子さんと言えば、

まずは『東京ブギウギ』ですし、

ブギウギの女王と呼ばれていた

伝説の歌手…というのは、

知っている方も多いと思います。

NHKの朝ドラのタイトルも

「ブギウギ」ですしね。

でもね、笠置シヅ子さんって、

ブギウギだけじゃないんです。

実はこの特集をするまで、

僕も笠置シヅ子さんの歌は、

『東京ブギウギ』、

『買物ブギー』、

『ジャングル・ブギー』

くらいしか知りませんでした。

それもほとんど、

歌手の方がカバーしたバージョンで

聴いていた感じです。

でも今回の特集をするにあたり、

笠置さんに関する本を色々読んで、

笠置さんの歌を色々聴くと、

笠置シヅ子さんという

偉大な歌手の魅力を

たくさん知ることができました。

まずは戦前、

笠置さん20代の頃は、

服部良一先生との出逢いによって、

ジャズ歌謡を唄って、

「スイングの女王」と呼ばれていたんです。

『ラッパと娘』(昭和14年)

という歌を聴くと、

すごいグルーブ感があって、

クールなのに熱のあるボーカル。

当時の日本でその歌唱は、

ジャズファンも唸るほど

衝撃的だったと言われています。

なおこの歌でのスキャットが、

日本初のスキャットだとか。

もう戦前の20代で、

笠置シヅ子さんは

大スターだったんですね。

『東京ブギウギ』を唄って、

ブギウギの女王と呼ばれるのは、

笠置さんがベテランの域に入った

戦後の30代(34歳頃)からなんです

つまり笠置シヅ子さんは

ブギウギも素晴らしいけれど、

彼女の魅力は、それだけじゃないんです。

まずはそれを知ってほしくて、

それが分かるように

今回の巻末楽譜特集を選曲しました。

12月号で楽譜に掲載した

『ラッパと娘』

『アイレ可愛や』

『セコハン娘』

『東京ブギウギ』

『ヘイヘイブギー』

『ジャングル・ブギー』

『買物ブギー』

の7曲はこのアルバム

『笠置シヅ子の世界~東京ブギウギ~』

(COCP-42055~6)に収録されています。

前述した『ラッパと娘』

もブラックミュージックっぽくて、

かっこいいですし、

南方歌謡『アイレ可愛や』は

とても可愛いらしい作品。

美空ひばりさんの

デビューのきっかけになったという

『セコハン娘』は

物がない戦後を反映した歌で、

ある意味、メッセージソングで

心に刺さります。

ブギウギだけじゃなく、

この3曲はどうしても入れたかったんです。

なお、

ほとんどラップミュージックの

『買物ブギー』は

ぜひ楽譜にしたかったので、

2ページを使って入れました。

また、笠置シヅ子さんは、

当時の歌手では革新的だった

ステージで踊りまくるパフォーマンスと、

爆発的に明るい笑顔で、

戦後の日本に光を射してくれましたが、

その輝きの裏側で

かなり苦労された方らしいです。

辛い影があったからこそ、

目映い輝きが生まれたんですね。

そういうことを今回の巻末楽譜特集でも

ちょっと書かしていただきましたので、

ぜひご覧になっていただければと思います。

なお『東京ブギウギ』の

Re-editバージョンと、

Remixバージョンが、

配信でリリースされています。

これがサンプリングなど

録音技術の進化を感じずにはいられない、

今風にアップデートされた仕上がり。

Re-editバージョンはオリジナル音源に、

アコースティックベースとパーカッションを

ダビングして、

ノイズなどを綺麗に処理した

鮮明な音質のモダンバージョン。

笠置さんのオリジナルの歌って、

戦前戦後のレコーディングなんで、

モノラル録音で、

音質も決して良くないですし

(それが良くもあるんですが)、

針音のノイズもけっこうありますから、

この高音質なエディットは素晴らしい。

笠置さんのボーカルの魅力が

より分かりやすく聴こえてきます。

Remixバージョンがまたすごくて、

ブレイクビーツなどを取り入れた

ダンスチューン的仕上がり。

なにしろテンポが速くなっているのに、

笠置さんの声はそのままで

テンポアップされています。

つまりオリジナルテープの

速度を上げたんではないんですよ。

この速いテンポ感が、

すごく今の時代に合っています。

オリジナルのテンポは

今聴くと、ゆっくりめですからね。

このミュージックビデオは

Re-editバージョンですね。

というわけで、

ぜひ歌の手帖12月号を読んで、

『笠置シヅ子の世界~東京ブギウギ~』を聴いて、

NHK「ブギウギ」をご覧ください。

ちなみに

ダウン・タウン・ブギウギ・バンドで

『賣物ブギ』という作品があり、

これが『買い物ブギー』をリスペクトしつつ、

ロックに進化させたような、とても楽しい作品。

機会があれば聴いてくださいね。

村田

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