歌の手帖7月号には、
デビュー40周年を迎えた坂本冬美さんの、
10人の作曲家による巻末楽譜特集を掲載しております。

坂本冬美さんは作曲家・猪俣公章氏の
内弟子として修業後、
19歳の時に『あばれ太鼓』(1987年)でデビュー。
猪俣先生と言えば
森進一さんのデビュー曲『女のためいき』や、
『港町ブルース』『おふくろさん』をはじめ、
水原弘さんの『君こそわが命』、
テレサ・テンさんの『空港』、
五木ひろしさんの『千曲川』など、
数々のヒット曲を手掛けた偉大なる作曲家。
そんな猪俣先生のお弟子さんですから、
猪俣先生が1993年にご逝去されるまでは、
冬美さんの歌は猪俣先生作品が多かったのは
言うまでもありません。
師匠・猪俣先生が1993年にお亡くなりになられて、
師匠を失った痛みを抱えた冬美さんを
助けてくれたのが三木たかし先生。
三木先生が『夜桜お七』(1994年)を書いて以降、
冬美さんは色々な作家の先生の作品を唄われているんです。
そして、演歌、ポップス、ロックなど、
幅広いジャンルの作家の先生の
歌を唄ってきた冬美さんだからこそ、
歌手・坂本冬美という
唯一無二の存在が築かれたんでしょうね。
冬美さんって、本格演歌歌手でありながらも、
そこの枠に収まり切れない
ジャンルレスの魅力があります。
それを改めてお伝えしたい思いもあり、
7月号の巻末楽譜特集では、
10人の作曲家による冬美作品を選んで
楽譜を掲載して、
それぞれ冬美さんにコメントをいただきました。

僕が冬美さんのお名前を知ったのは、
まだ学生の頃、
大好きだったRCサクセションの
アルバム『COVERS』(1988年)に収録の
『シークレット・エージェント・マン』
でゲスト歌唱されていたから、でした。
当時デビュー曲『あばれ太鼓』や
『祝い酒』が大ヒットしていた冬美さんですが、
その頃の僕はロックしか聴いてなかったので、
お恥ずかしながら、
そのアルバムまで冬美さんを知らなかったんです。
聞くところによると、
冬美さんがデビュー曲『あばれ太鼓』(1987年)の
お披露目会を所属レコード会社・東芝EMIの
ロビーで行っていたところ、
たまたま取材で東芝EMIに来ていた
RCサクセションの忌野清志郎さんが
(当時は同じ東芝EMI所属でした)
冬美さんの歌声を聴いて、
「面白い子がいるな」と注目して、
冬美さん側に声をかけたそうです。
ロックの清志郎さんにとって、
演歌でコブシを回す、若き19歳の冬美さんの歌声が
とても新鮮で魅力的だったんでしょうね。
それで大ヒットしたアルバム
『COVERS』に収録された
『シークレット・エージェント・マン』で、
ゲスト歌唱をしてもらったようです。
そのゲスト歌唱で清志郎さんは冬美さんを
更に気に入ったようで、
元YMOの細野晴臣さんに声をかけ、
HIS(細野晴臣、忌野清志郎、坂本冬美)
というユニットを結成。
そして、1991年6月28日
『夜空の誓い』(HIS)という
7月号で楽譜を掲載した歌を
シングルリリースされました。

これは自分で持っていた
懐かしき8インチのCDシングルです。

シングル裏面。冬美さんがお若い。
なぜかHISは学生服とセーラー服の衣裳でした。
だから僕が初めて動く坂本冬美さんを見たのは、
セーラー服姿でした(笑)。
また着てほしいですけどね。
で、1991年7月19日には、
HISのアルバム『日本の人』を発売。

このアルバムに入っている
冬美さんによる
カバー『逢いたくて逢いたくて』(園まり)
がとても魅力的。
僕は冬美さんのカバーでこの歌を知って、
園まりさんのCDを買いましたから。
あと、ジミ・ヘンドリックスの
『パープル・ヘイズ』を
清志郎さんの日本語訳で
冬美さんがコブシと唸りで唄った
『パープル・ヘイズ音頭』も素晴らしい仕上がりですよ。
ともあれ、デビューしてすぐ、
まだ新人だった坂本冬美さんが、
忌野清志郎さんに声をかけてもらい、
それからロック界の巨匠、
細野晴臣さんと忌野清志郎さんを
バックに唄ったわけですから、
それが以降の
冬美さんの歌手活動を決定づけるような、
大きな経験だったことは間違いないでしょう。
それがあったから、
『夜桜お七』も違和感なかったんだと思います。

そんな坂本冬美さんの40周年を記念して、
師匠・猪俣公章先生の命日である
6月10日に発売された2枚組ベスト
『坂本冬美 40thベスト ~轍(わだり)~』
(UPCY-8127/8)。
HISの『夜空の誓い』と
『しあわせ十色』(新曲『遠い昔の恋の歌』カップリング)
以外は
7月号の巻末楽譜に掲載した歌も収録されています。
またHISのメンバ-による
『Oh,My Love〜ラジオから愛のうた〜』
(2005年作品)も収録されていますね。
このアルバムを聴けば、
原点の猪俣公章先生から始まり、
忌野清志郎さんを経て扉が開いていった
冬美さんの幅広い魅力が
胸に響いてくると思いますよ。
ぜひ7月号と共にお楽しみください。
村田