ジャズ・ダンスとは

みちのく娘! のお三方のステージを初めて拝見しました。

花柳先生の猛稽古で知られる3人組ですが、洋舞のレッスンも当然受けておられるのでしょうね。

洋舞は日本では、所謂社交ダンスの「ソーシャル」、『白鳥の湖』などの「バレエ」、劇団四季とかのミュージカルで観られる「ジャズ・ダンス」の3種類と一般に認識されています。若い子たちのヒップ・ホップやストリート系も、人脈的な系譜ではジャズ・ダンスの流れを汲んでいるんじゃないでしょうか(所説ありそうだけど)。

 ソーシャルは役所広司主演のあの映画が有名ですね。もとは欧米上流社交界の嗜みだったのでしょうが、今は「競技」の要素が強い印象です。バレエは芸術の範疇で語られる点ではクラシック音楽と同じような扱いですが、森下洋子や熊川哲也、草刈民代といったスターを輩出しています。

 ジャズ・ダンスはと言いますと、ロンドンやブロードウェイのショービジネス界で発達したダンスで、技術の基本はバレエの応用であるようです。バレエだとチャイコフスキーとかラフマニノフの音楽で踊るわけですが、身のこなしは似ていてもジャズダンスなら音楽はバーンスタインの『ウエストサイド物語』ということになる訳です。

 なんで「ジャズ」なのかと云うと、1950年代までは一般にジャズというとあくまでポピュラー・ソングであって、小難しげな所謂モダン・ジャズなんかとはたいぶ違う印象の音楽だったこと、ために特に日本ではクラシック以外の洋楽をすべて「ジャズ」と呼称していたことなどが理由だと思います。昔は「ジャズ」というのは今の「ポピュラー」や「ポップス」に該当する言葉だったのですね。宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』にも、「何だ『愉快な馬車屋』ってジャズか」と主人公がタヌキ君に尋ねる場面があります。

 なので今のミュージカルやポップ・スターのステージなどは、音楽はロックだったりソウルとかレゲエだったりしても、踊り自体は「ジャズ・ダンス」という言い方で区別されているんだと思います。

 3人の踊りにはダンサーに不可欠な陶酔感があって、観ていて胸が熱くなりました。写真は羽山みずきちゃんの足元です。ひとりだけ靴紐の色が違うのかと思ったら、みゆちゃんとあやのちゃんはそれぞれ赤とピンクで、違いが分かりにくかっただけでした。

(髙村)

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