2024年10月4日
皆さんお世話になってます。
浜圭介先生のお書きになるメロディーには独特のにおいがあって、聴いただけですぐ分かることがあります。
自分が何か大事なことを忘れていたことを思い出し、しかも何を忘れているのかは思い出せないことってありませんか。浜先生のメロディーは、そんな「行き場のない焦燥感」に満ちています。世に出た氏のすべての作品にあると言ってもいいほどです。
文章で表現するのが仕事なので、この印象を一言で説明しなければいけないのですが、どう書けばいいのか、長い間分かりませんでした。今でも分かりませんが、最近とりあえず「終焉の薫り」と云わせていただいております。何かが目の前で今、終わろうとしている、その瞬間の空気です。終る前でも、終わったあとでもないのです。終ろうとしているその時間、現在進行形なのです。
悲観的なことを申しているいるわけではないのです。何かの終わりは、何かの始まりでもあります。卒業式では皆、友や師との別れを惜しんで泣きますが、すぐ後には、進学や就職が待っています。
来月発売になる山本譲二さんの新曲は、浜先生の作曲です。メロディーから伝わってくる限りない憂愁、悲哀。胸をかきむしられるようです。しかし譲二さんが唄っているのは、新しい出発や幕開けなのです。
別離の悲しみをこえて、前に進んでゆけますように。
(髙村)