歌の手帖9月号の
巻末楽譜特集では
デビューから今年で
50年となる
ちあきなおみさんの
特集を掲載しております。
実際に担当したのは
たくみなんですが、
僕が
ちあきなおみさんの
特集をしたいと
以前から思ってたんですね。
そんな時に、
今年はちあきさんが
デビュー曲『雨に濡れた慕情』
から50年目になる
という年だそうで、
テイチクさんからそれを記念した
編集アルバム
『微吟』が
発売されたことを知り、
収録曲を見ると、
コロムビアさん時代の
作品も入っていて、
(つまりオールタイムベスト的な)
とても良い選曲の
アルバムでしたので、
そのアルバムを元に、
今回の特集を企画
させていただいたんです。
ちあきさんは
コロムビア時代と、
ビクター時代と、
テイチク時代があり、
コロムビア時代は
いわゆる流行歌歌手として、
『喝采』や『四つのお願い』
などのヒット曲がたくさんあり、
テイチク時代は、
シンガー的な存在となり、
『かもめの街』『紅い花』
など、
今もカラオケで人気の
作品を唄っていました。
ちなみに
ちあきなおみさんの
テイチク時代の
代表曲をまとめた
巻末楽譜特集を
歌の手帖2011年11月号
で掲載しました。
この時の掲載曲は
『色は匂へど』『かもめの街』
『紅とんぼ』『伝わりますか』
『冬隣』『役者』
『紅い花』『黄昏のビギン』
の8曲。
(なお、この2011年11月号、
大変申し訳ありませんが、
弊社には在庫はございません)
僕がこの仕事をした時には、
すでにちあきなおみさんは
歌手活動を休止されていて、
もちろんお会いした事はないですし、
実はこの仕事をするまで、
ちあきさんの作品は
ほとんど知らなかったんです。
小学校低学年の頃、
友達の家に行くと、
彼のお父さんが隣の部屋で、
『喝采』を
大きな木目調ステレオで
よく聴いていて、
『喝采』を聴くと、
その友達と
ステレオ(もう死語ですね)
を思い出すくらいで…(笑)。
でも、
この仕事を始めて
ちあきなおみさんの歌を
聴いてから、
彼女の表現力の凄みと、
曲そのものの魅力を
強く感じるようになりました。
今回の巻末は基本、
読者の皆さまのリクエストですが、
特に入れたかった曲は
『夜間飛行』と『ルージュ』。
『夜間飛行』はヒット曲ですが、
実は僕は、
この仕事をして知った曲です。
でも、
美味しいフレーズの
色違いのかたまりを、
ちょっと強引なほど
いくつも積み重ねた
めくるめく構成が
僕は大好き。
パワーある歌謡曲黄金時代の
とても素敵な猥雑ポップ感です。
今回は掲載できなかったですが、
『X+Y=LOVE』の
良い意味での露骨なポップ感も
捨てがたいです。
『ルージュ』は中島みゆきさんの作品。
まごうことなき中島みゆきの世界ですが、
やはりそれはとても魅力的なんですよね。
みゆきさんは歌謡曲にもたくさん
作品を提供してますし、
ヒットした作品も数多いですが、
どの作品の歌詞にも曲にも、
中島みゆきの
揺るがない
存在感が溢れ返っていますが
いつの時代もそれは
魅力的に感じられます。
いつの時代も
彼女が訴えようとする歌は
心の襞をギュッと引っ張るんです。
それは、
普遍的な男と女の罪と罰、
と言いますか。
話を戻して、
ちあきさんの歌では
『星影の小径』
『黄昏のビギン』
という
オリジナルと双璧のカバーや、
前回載せた『紅とんぼ』、
ちょっとアバンギャルドな
異色作『夜へ急ぐ人』、
船村徹先生も認めた
ヒット曲『矢切りの渡し』、
その船村演歌の『酒場川』など、
まだ載せたい歌が
いっぱいあったんですけどね。
それはまた、次回。
村田
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