偉大な作曲家・鈴木邦彦先生で思うこと

歌の手帖7月号の

巻末楽譜は

日本レコード大賞受賞曲

『天使の誘惑』(黛ジュン)

をはじめ、

数々のヒット曲を手掛けてきた

作曲&編曲家・鈴木邦彦氏

の特集です。

以前にもこのブログで

書きましたが、

僕が初めてレコードを

買ったのは

小学低学年の時、

西城秀樹さんの

『薔薇の鎖』でした。

その作曲者が

鈴木先生だったんですよね。

だから、今回の取材には

感慨深いものがありました。

鈴木先生の作品は、

その西城秀樹さんをはじめ、

黛ジュンさん、

ザ・ゴールデン・カップスなど、

歌の手帖で

取り上げるジャンルとは

重なるようでいて、

実は微妙に違うんですよね。

その作風もロック系の歌謡曲

という感じの作品が

多いので、

鈴木先生の作品を本誌で

取り上げることもあまりなくて、

鈴木先生とお会いする機会も

なかったんです。

だから、今回この企画で、

取材でお逢いできることが

とても光栄でした。

前述したように

ロックやR&B系の作品

(編曲も含めて)

が多い印象でしたから、

そういう洋楽がかなりお好きな

先生なのかな?

と勝手に思っていたんですが、

実は違いました。

鈴木先生はピアノから

音楽を好きになり、

音楽を学び、

ジャズを愛して、

歌謡界には

ピアノのミュージシャンとして

扉を開いて、

それからアレンジャーとなり、

そして作曲家へ

たどりついた方でした。

だからロックだけじゃなく、

ジャズ、ラテン、クラシックと、

色々なジャンルの音楽が好きで

それぞれの音楽理論を

熟知されていて、

いわゆる

知性的な音楽家!

という方でした。

それでも、

今回は掲載できなかったですが、

ザ・ゴールデン・カップスの

『愛する君に』

なんて、

日本のロックの原点とも

言えそうな名曲ですよ。

そう言えば

今回掲載した

『北国行きで』(朱里エイコ)

なんて、

椎名林檎さんもカバーしてますけど、

この歌も

和製R&Bの元祖、

みたいな名曲ですよね。

そうだ

『薔薇の鎖』は

元ザ・ブルーハーツの

甲本ヒロトさんも

初めて買ったレコード

だったらしいです。

鈴木先生の作品は、

ロックが好きな方に

好まれる何かが

あるんですよ。

例えば

森田健作さんの

ヒット曲

『友達よ泣くんじゃない』

(作曲・編曲:鈴木邦彦)

のベースを聴いてほしい。

キーが合ってないように

聴こえるかもしれませんが、

これはルート音を避けた、

多調・複調という手法。

こんな爽やかな

カレッジソング的歌謡曲で、

プログレで使われるような

攻めた難解なアレンジを

何気に使ってしまうのが、

鈴木先生の凄さでもあると思うんです。

また、

鈴木先生の作品はもちろん

そうですけど、

この時代の歌謡曲を聴いていて

いつも感心するのは、

まずイントロが素晴らしいこと。

最近の歌は

個性のないイントロが

多くて、

イントロ当てクイズが成立

しませんが、

この時代の歌謡曲は

イントロ当てクイズが楽しいほど、

工夫された

個性的なイントロをもつ歌が多い。

だからイントロを聴くだけで、

その歌を聴いていた時の

空気や匂いが甦るように映り、

鳥肌が立つんですよね。

あと歌の主題が明確で、

3分間という時間の中に、

美味しいフレーズを

凝縮しているんですよね。

1990年代頃から

演歌歌謡曲を含む

ポップミュージックも

5分超えが当たり前になりましたが、

やはりポップミュージックは

3分という時間が適正だと感じます。

その3分という短い時間の中に、

どれだけの音楽的マジックを、

どれだけ心に刺さるエッセンスを

凝縮できるか?

がプロの仕事だと思うんです。

そういうプロの仕事をしてきたのが、

鈴木邦彦先生世代の

作家の方々だと思うんです。

令和の歌謡曲も、

ぜひその

昭和歌謡の

原点に回帰してほしい、

と願うばかりです。

書き忘れましたが、

NHKのど自慢の

テーマソングも

鈴木先生なんですよ。

今回は字ばかりで

すいません…。

村田

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