バイトが来た

先週、弊社にアルバイトの学生がやってきました。沖縄の出身だそうで、名前をヨナ某と申します。

与那国島のヨナなのでしょうが、演歌の世界でヨナと言えば四と七、音階のファとシを指す言葉であることは周知の事実。

ヨナ抜きのマイナー音階は日本独自のものだと思われていますが、実はジャズのスタンダード・ナンバーで、このマイナーヨナ抜きが使われている曲があります。

『朝日のようにさわやかに』、Softly as in a morning sunriseという曲です。

この曲のAメロの最後の部分が譜例①で、ソからミに降りる時、ファを飛ばしていますね。これぞヨナ抜き(この例はヨナのヨだけですが)。

日本のある有名なジャズ・ミュージシャンが同曲について、譜例①を演奏して見せてから「これだと歌謡曲みたいでダサいでしょ。だからジャズメンは皆こう演るんだよ」と言って譜例②のように演って見せてくれたことがありました。

ソラソミ~レド~(ミファミド~シラ~)をソラソファミ~レド~(ミファミレド~シラ~)と変えています。他にファソファミ~レド~(レミレド~シラ~)とか演ったりします。とにかくファがないと落ち着かないんですね。

(カッコ内は移動ド表記)

ところが、有名なヘレン・メリルさんは譜例①、つまり原曲通りに唄ってらっしゃる。このメロディーを「歌謡曲みたい」と感じるのは、ましてや「ダサい」と感じるのは日本人だけなのかもしれませんね。まぁ考えてみれば当然ですが。

ここで興味深いのは、前述のミュージシャン氏がくだんのフレーズを「演歌みたい」ではなく「歌謡曲みたい」とおっしゃったこと。
氏の年代(ご存命なら90歳にはなられるかな)だと、演歌も歌謡曲も区別なかったのでしょうね。

スタジオ・ミュージシャンとして、歌謡歌手の仕事もずいぶんなさったプロフェッショナルの言葉なのだから、間違いないと思います。

最近久々にジャズ・クラブへ行き、スタンダード・ナンバーを聴きながら思い出した話しでした。

沖縄出身の22歳の耳にはどう聴こえているのかな…。
(高村)

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