更に久々のUTギターズ

 さて、いよいよこのギターを紹介できる日が来て嬉しい限りです。

私も持ってます。タカミネのNPT-315、日本製ギターの歴史に残したい名品の一つと言ってよいと思うのすが。

 カッタウェイと楕円形のサウンド・ホールのせいで個性的な外観となっていますが、実際は形状、サイズとも標準的なクラシック・ギターのソレです。ものの本によれば開発時には、かの名工・河野賢氏の監修もあったそうで、氏の作品の個性を継いでいるのですとか。

 元はアール・クルーのシグネチャー・モデルとして1981年頃に作られ、その後市販されるようになったものです。タカミネでは標準的なクラシック・タイプは300シリーズという型番でラインナップされていましたが、当時からついこの間まで、この315が300シリーズのトップ・オブ・ザ・ラインとして君臨しておりました。

 楽器としての性格こそクラシック・ギターそのものではありますが、前述のカッタウェイ、サウンドホール等のデザインは明らかに、ジャンゴ・ラインハルトやその継承者達で有名な、マカフェリ・ギターを意識したものでしょう。と言うことはヨーロッパの音楽、つまりクラシックやマヌーシュ・スウィング等の素養のあるジャズ・ギタリストをユーザーとして想定した製品だと言うことになりましょう。

 私にとって、子供の頃からの憧れのギターでありました。普通ギタリストはロックならギブソンやフェンダーにあこがれ、フォーカーはマーチンに憧れ、クラシックやフラメンコならラミレスやエルマノス・コンデ、サントス・エルナンデスに憧れるものですが、私の場合はコレでした。何たって

・クラシックにもジャズにも使える

・電気でも生でも使える

・座奏でも立奏でも使える

から!

 製品の性格上、ストラトキャスターみたいに誰もが使う大定番とはいきませんでしたが、アール・クルー本人以外にも、ローリンド・アルメイダや、日本だとディアマンティスのアルベルト城間さんが使っておられましたし、彼等ほど有名でなくても、スタジオ・ミュージシャンなど多くのプロフェッショナルに重宝されていたようです。

 写真は7月16日、東京・中野サンプラザで行われた森サカエさんのコンサートに出演した有馬徹とノーチェ・クバーナのステージの模様です。リーダーの淡谷幹彦の雄姿は昔観た映画のチャールズ・ブロンソンを陽気にしたみたいで、カッコよかったなぁ。

 名人にこそ名機を! …あやかりたいもんです。

(高村)

 

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