日本の歌謡曲は、筒美京平先生

作曲家・筒美京平先生が

10月7日に天国へ旅立たれて、

もう1ヶ月以上が経ちました。

近頃は“神”という言葉が

安売りされているように感じますが、

日本歌謡界での

本当の

“神”的存在と云えば、

筒美京平先生

と思うくらい、

偉大すぎる

超天才ヒットメーカーな方です。

なにしろ筒美先生が

作曲されたシングルの売り上げは、

7560.2万枚を記録し、

歴代作曲家シングル総売上1位。

ちなみに

そのランキングの上位に

ランクインしている作曲家は、

小室哲哉さんや

織田哲郎さんなど、

ほとんどが

’90年代以降に活躍された方々。

1990年代は、

外資系の大型レコード店が

日本で一気に増えたことに伴い、

音楽メディアの主流となったCDが

どんどん売れて、

ミリオンセラーが多発した時代。

小さな町のレコード店が

主流だった

1960年代~1980年代とは

その音楽市場の規模が

倍以上違うんです。

つまり、

筒美先生のヒット曲が連発した

1960年代~1980年代の

シングル売り上げ100万枚と、

1990年代以降の

シングル売り上げ100万枚では、

その意味や価値が

大きく異なります。

だから、

1960~1980年代で

100万枚を売り上げた

ヒット曲は、

老若男女が知っている

国民的ヒット曲でしたが、

1990年以降の100万枚は、

そうも云えなくなりましたよね?

記録的にはミリオンセラーなのに、

その当時の若者しか知らないヒット曲って、

いっぱいありますよね?

1990年代以降は。

何が言いたいのかと云えば、

まだ音楽市場の規模が小さかった

1960年代から活躍している

筒美京平先生が

今も作曲家売り上げ1位というのは、

数字以上に偉大な記録で、

もはや誰もたどりつけない

永遠なる金字塔だ、

ということなんです。

これは2013年発売の

『筒美京平 Hitstory Ultimate Collection

1967~1997 2013Edition』

(¥18,857+税 ソニー

MHCL-30202~30210)。

CD9枚組に、

筒美京平先生が手掛けたヒット作品が

レコード会社の枠を超えて

173曲収録されたBOXセットです。

11月21日に発売される

歌の手帖1月号でも

紹介しました。

実はこのBOXセット、

当初は

1997年に筒美先生の

作曲家生活30周年記念で

『筒美京平 HITSTORY』として

CD8枚組で発売されたんですね。

それが高額商品でありながら大ヒットし、

廃盤になった時は

中古市場でも

恐ろしいプレミアム価格に

なっていました。

それで再発売の声が高まり、

筒美先生の

作曲家生活45年の2013年に、

1998年から2013年までの

ヒット曲を1枚追加した9枚組で

再登場したのが、

このBOXセットなんです。

で、

僕は最初に発売された

1997年の時に、

『筒美京平 HITSTORY』

何となく興味があって手にいれたんです。

当時の僕は、

そんなに筒美京平先生の作品の

ことを知っていたワケではないんです。

でも、

僕が青春をすごした

1980年代に、

たくさんの大ヒット曲を手掛けた先生

というのは

もちろん知っていましたから、

その筒美作品を改めて

一気に聴いてみたくなって、

手に入れました。

そして聴いてみたら、

これも筒美先生だったの?

えっ、これも?

ええっ、こっちも?

えええっ、これもなの?

というくらい、

筒美先生の手掛けたヒット曲の

多さ、

そのバリエーションの幅広さに

改めて驚いたんです。

CD8枚組(当時)に

ところ狭しと

ヒット曲が詰まってました。

なにしろ

国民的アニメ『サザエさん』

の歌から、

『ブルー・ライト・ヨコハマ』

『また逢う日まで』

『木綿のハンカチーフ』

『魅せられて』

という

昭和歌謡を代表する大ヒット曲の数々、

そして

郷ひろみさん、野口五郎さん、

南沙織さん、麻丘めぐみさん、

近藤真彦さん、田原俊彦さん、

小泉今日子さん、中山美穂さん

少年隊さん、などの

アイドル歌謡のヒットチューンの数々。

意外なところでは

『セクシャルバイオレットNo.1』や

『Romanticが止まらない』

『摩天楼ブルース』

なども筒美先生。

平成に入ってからも、

『人魚』(NOKKO)など、

名作が多い。

活躍期間が長いんですよね。

1960年代から2000年代まで、

5年代連続で

それぞれ

オリコン週間シングルランキング1位を獲得。

同ランキングの1位獲得曲が39作品ですから。

普通、1位獲得曲が3曲もあれば、

立派に大先生ですけどね。

39曲って…途方もないです。

こんなにヒット曲が多いのに、

沢田研二さん、山口百恵さん、

松田聖子さん、中森明菜さん

というビッグネームの作品を

手掛けていない、というのも

また興味深い。

とにかく

少なくとも僕にとって、

日本の歌謡曲=筒美京平先生

なんです。

もし機会があれば、

もし興味があれば、

上のBOXセットを

聴いていただければ

と思います。

昭和生まれの方は

きっと感動しますよ。

長くなりましたが、

改めて、

偉大なる筒美京平先生に

心の底からご冥福を

お祈り申し上げます。

村田

歌の手帖 2020年12月号 | 歌の手帖,2020 | 歌の手帖社 utate online

【公式SNSを見る】
error: コンテンツは保護されています