舟木一夫さん、最後の中野サンプラザと輝さんへの思い

歌の手帖7月号には

4月25日、

東京・中野サンプラザで行われた

舟木一夫さんのコンサート

を掲載しております。

舟木さんの

中野サンプラザ公演と言えば、

通常は舟木さんの

全国ツアーの最終日で、

誕生日に近い12月とかが多いことから、

舟木さんの中野サンプラザに行くと

反射的に

「今年もそろそろ終りかぁ」

みたいな年末気分になるのですが、

今年は4月25日に開催でしたから、

なんか不思議な気持ちになりました。

というのも、

残念ながら中野サンプラザが

今年7月2日で閉館されることから、

今年は「ありがとうサンプラザ」

のタイトルがつけられ、

この4月25日開催となったんですよね。

今回のサンプラザ公演は2部制で行われ、

1部を「輝さんのおもかげ」と題し、

昨年2月に逝去された西郷輝彦さん

の作品を舟木さんが10曲披露。

その10曲は、

舟木さん自身が選曲したそうです。

詳しいお話は本誌を

ご覧になっていただきたいのですが、

舟木さんの唄う西郷輝彦作品を

聴きながら、

舟木さんの中にある喪失感と、

西郷さんへの

温かな思いが感じられて、

改めて舟木さんは

西郷さんのことを、

本当に心許せる同士、

時代を闘ってきた仲間として

大切な存在だったんだなぁ…と

なんだかジーンとしました。

僕が西郷さんに取材で

お会いしたのは、

ちょっとしかないんですけど、

そのちょっとだけでも、

あんな大スターなのに、

とっても気さくで、

ニコニコ笑顔で優しくて、

とても素晴らしい方…

という印象でしたから、

繊細でピュアな舟木さんには

とても信頼できる歌手仲間

だったんだと思います。

今回の舟木さんの

コンサートも最高でした。

本当に舟木さんって、

すごいよなぁ。

そしてコンサートが終ると、

もう外は夜の闇が

空から降りてきていましたが、

中野サンプラザを撮ってみました。

僕にとっても、

これが最後の中野サンプラザ

になるかな、と思いまして。

高校が中央線沿いだった僕は、

10代の頃から、

中野には時々行ってましたし、

この中野サンプラザの大三角形の

独特な形が好きだったんですよね。

中野サンプラザは閉館後、

巨大な近代的複合施設になり、

会場は7000人規模の

大型アリーナになると聞いていますが、

2000人規模の会場を

残してほしかったなぁ。

音楽を聴くなら、

大型アリーナではなく、

今の中野サンプラザくらいの

大きさがベストなんですけどね。

そして、

この大三角形のデザインを

継承してほしい。

今月の編集後記にも書きましたが、

なんでも新しくすれば良いって

もんじゃないのに、と。

ヨーロッパの街作りのように、

歴史を残しながら、

アップデートしてほしいです。

日本は歴史を継承するのが

なんだか上手じゃないような…。

中野の隣りの新宿ほど

都会じゃないけど、

決して田舎でもない、

あの独特にゆるい感じの

アンダーグラウンドで

庶民的ポジションを

大切にしてほしいです。

とりあえず、

来年の舟木一夫さんの

東京公演は

どの会場になるのかな?

と思いながら、

素敵なステージを見た幸福感と、

なんだか寂しい気持ちが

混ぜ合わさった気分で、

この日は家路につきました。

村田

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