歌の手帖6月号のピンナップは、
2年ぶりの新曲『秘密の花』がヒット中の梅谷心愛さん。
2年前、彼女がデビューした時は15歳でしたから、
デビュー曲で最初に取材させていただいた時は、
えっ、15歳って、ついこの間まで、
ランドセル背負ってませんでした?
という感じで、
自分の娘と話すような感じでした(笑)。
で、今は17歳。
それでもまだまだ未成年の若さなんですけどね。
だけど、梅谷さんに新曲で久しぶりにインタビューして、
なんかやっぱり大人になったなぁ、と感じました。
撮影中も取材中も、
ド直球な若さが眩いんですが、
でも彼女が周囲に気を配っていて、
落ち着いて考えて行動しているのを
すごく感じられましたし、
さすが大人の中で鍛えられているなぁ、と。
彼女は普通の17歳とは、やっぱり違うんですよね。
僕は彼女のデビュー曲『磐越西線ひとり』の
唄い出しの8小節の中にある、
梅谷心愛の中低音が好きなんです。
その彼女の中低音に、
山口百恵さんの中低音に近いものを感じているんです。
梅谷さんは笑顔も良いけど、
こういうクールな顔も
すごく凛としていて良いな、と。
6月号のピンナップで、
ミモザの花で顔を半分隠した写真があって、
それがとても好きなんです。
瞳がまっすぐで、
でもちょっとどこか不安げな陰があって、
子供と大人の共存した表情が、
彼女の歌声とつながっているように感じるんです。
今回のインタビューで僕が、
「百恵さんの歌を唄ってほしいな」
と言うと、
彼女から
「例えば、どんな歌が良いですか?」
と逆に質問されました。
まぁ、
『秋桜(コスモス)』『いい日旅立ち』
『夢先案内人』とかの百恵さん定番曲が
パッと浮んだんですけど、
でもそれだと普通過ぎますし、
ちょっと違うかな、と。
『惜春通り』とか、
アイドル歌謡の『夏ひらく青春』も
面白いけどな…とか思いましたが、
リズムのある歌じゃなく、
やっぱりバラードかな…と。
そう色々と考えていたら、
けっきょく、彼女にうまく
唄ってほしい百恵さんの曲名を
伝えられなかったんですね。
あれからしばらく考えまして、
僕が百恵さんの歌で梅谷心愛さんに
唄ってほしい歌がわかりました。
アルバムの曲でマニアックですが、
谷村新司さんが作った『ラスト・ソング』。
この歌って、歌番組の
「ミュージックフェア」で百恵さんが唄って、
伝説になったとも言える作品。
『ラスト・ソング』の内容って主人公は女性歌手で、
客席に愛していた彼と、そのフィアンセの彼女が、
2人で幸せそうにこっちを観ている中、
私はステージで唄っている…という作品。
当時、生番組だったと思いますが、
『ラスト・ソング』を唄いながら、
百恵さんは歌の中へ感情を落とし込むように、
その哀しい歌世界へ潜入していき、
最後の方は百恵さんの瞳から涙が
ボロボロと流れ落ちるんですけど、
でも表情と歌声はとても冷静で、
まったく歌が崩れないんです。
大粒の涙が瞳からこぼれ落ちながら、
歌詞が詰まることも、
メロディーが震えることもなく、
百恵さんはとても冷静に、
痛いほどの哀しさを熱唱していたんです。
あのシーンは鳥肌が立つほど感動しました。
そして、山口百恵という歌手の凄さを
痛感しました。
ちなみにミュージックフェアの『ラスト・ソング』
は某動画サイトでも見られるようです。
心愛ちゃんも将来、
『ラスト・ソング』を百恵さんと同じように、
大粒の涙を流しながら、
冷静に熱唱できそうな可能性を感じるんです。
いや、そうなってほしいなぁ、と。
でも、まだ17歳ですからね。
南沙織さんの『17才』も、
桜田淳子さんの『十七の夏』も、
中森明菜さんの『少女A』も、
尾崎豊さんの『十七歳の地図』も
現役で唄えるんですもんね。
ちなみに百恵さんは14才でデビューして、
17才の頃はブレイク曲『横須賀ストーリー』
を唄ってた頃くらいかな。
『秘密の花』が梅谷さんにとっての、
『横須賀ストーリー』となるように期待。
とにかく梅谷心愛さんの
これからの大いなる成長が楽しみです。
6月号の梅谷心愛ピンナップを
ぜひ読んでください。
村田