2024年11月26日
東京プリンスホテルで行われた松川未樹ちゃんのイベントで、アイヌの古舞踊を拝見しました。
楽器を使わず、歌と手拍子だけなのですが、バンド演奏と変わらない迫力がありました。重要なのは足の踏み鳴らしで、これが普通の演奏でいうとベースかドラムのキック(大太鼓)のような役割を果たしているようでした。
木の床なら、こういう豊かな低音が出て実に良いけど、屋外の場合はどうするんだろう、土の地べたやましてコンクリートやアスファルトじゃあ、音が響かないよなぁ…と思って終演後、メンバーにお一人に訊いてみました。
「私達アイヌの踊りは、木で出来た家のなかで、天井とか梁の上にいる神々様に捧げるためのものなんです」
家の中で演ることが前提の音楽文化なのですね。
と言うより、神々様がやどっている木の床、壁、屋根なども彼等の音楽に使われる「楽器」のひとつなのだと考えた方がいいのかもしれません。
アイルランドのケルト音楽とか、アンダルシアのフラメンコも足の踏み鳴らしが重要なパートになっています。高価な楽器やテクノロジーを駆使するのもいいですが、こうした人間の身体や生活環境それ自体が発する音だけで出来た音楽には畏敬の念を覚えます。
アイヌ舞踊団との共演で唄う未樹ちゃんも精霊のようで素敵でありました。
(高村)